講座概要
私たちの教室では、日本において最も高い死亡率である疾患:がん/腫瘍に関して、その発生や進展や転移、薬剤耐性機構等の複雑な分子メカニズム解明のため、がん研究の歴史的背景と基礎的な概念をふまえ、がん治療・予防を目標とした腫瘍医学の最先端の研究を展開しています。 特に当教室で開発された国際レベルのプロテオミクス技術を駆使し、分子生物学、細胞生物学、バイオインフォマティクスを融合させて得られたな分子基礎情報から、病態動物モデルに応用するなど、システマティックな研究方法論はユニークなものとして注目されています。 主に、がん幹細胞、神経系腫瘍細胞を中心とした各種の上皮系/間葉系/リンバ系腫瘍の細胞増殖、分化、細胞死の分子シグナルの異常メカニズムの解明と、オーダーメイド医療への応用を目標に、関わる分子群の総合的な解析を進めています。 スタッフのバックグラウンドは、腫瘍医学、生化学、分子生物学、タンパク質学(プロテオミクス)、外科学、内科学、臨床検査学、細胞生物学、農学、工学、薬学と多彩で、それぞれの分野の知識や経験をもとに、腫瘍医学という学問分野に常に最先端のアプローチで展開しています。 私たちは、腫瘍の発生や進展のメカニズムを解明し、基礎腫瘍医学で得られた知識が単なる知識にとどまらず、最終的には臨床面に貢献しうるものになることを目指しております。
In our laboratory, many students are able to get an education in the forefront of tumor biology based on molecular cellular biology. We are studying specific cancer cellular mechanisms, such as cell cycle, differentiation, and apoptosis, with unique integrated strategies of system biology combined with genomics, transcriptomics and proteomics, using several kinds of patients’ cancer tissues and cells. Specifically, the systematic proteomics uniquely established in our laboratory is now widely recognized as world-class. Using these advanced strategies, we are currently focusing on the study of molecular mechanisms of stem cell-like cancer cells and related cellular signal networks to find specific medical targets. Each of our staff is advancing cancer research with a different approach based on his/her specialty, such as cellular biology, biochemistry, molecular biology, protein chemistry, proteomics, surgery, internal medicine, agriculture, and pharmacology. The fundamental objective of our research is to understand the mechanisms of the development and progression of cancer and to make a contribution to clinical medicine.
融合プロテオゲノミクス
多種類のリン酸化などの翻訳後修飾を含むタンパク質発現解析:プロテオミクス、
ゲノム解析
mRNAの発現解析
すべての分子群を定量的に同定後、全データを融合し、クラスター解析や、ネットワーク解析を介してがん組織細胞の中で最も異常に活性化している分子群の抽出を行うことができます。これらの候補分子群は細胞や動物を使った生物学的検証実験の後、臨床マーカーや治療ターゲット、予防・創薬に応用できる可能性があります。