研究プロジェクトについて
Ⅰ. なぜ腫瘍はできるの?
神経系腫瘍の発生メカニズム解明と治療標的の開発
① 神経線維腫症(neurofibromatosis:NF)原因遺伝子産物の構造と機能
② 悪性グリオーマの薬剤耐性メカニズムの解明
グリオーマ幹細胞がグリオーマがん細胞に分化する様子
Ⅱ. がん幹細胞はがんの発生起源
がん幹細胞維持・分化誘導・ニッチ形成の分子メカニズム解明と分子標的治療薬の開発
臨床サンプルを用いて、がん幹細胞を樹立する方法論をユニークに確立しています。融合プロテオミクス(ゲノム,トランスクリプトーム,翻訳後修飾を含むプロテオーム、メタボロームの融合的解析)法による分子ネットワーク解析から、初めてがん幹細胞の幹細胞維持・分化誘導に関わる分子群の同定に成功し、治療標的としての分化ニッチの存在と,その標的薬剤の有効性を動物モデルにて明らかにしています悪性脳腫瘍(glioma)、肝芽腫、胆管癌、口腔等の成功例を始め、多様ながん幹細胞樹立を推進してます。
Ⅲ.抗がん剤耐性と悪性化機構
タンパク質の翻訳後修飾(リン酸化、アセチル化、メチル化、糖鎖修飾、代謝/分解制御等)を介した異常ネットワークの解析
抗がん剤耐性と上皮間葉移行(EMT)・転移に関わる特異的転写・翻訳ネットワークと、関わる因子のリン酸化や糖鎖等の修飾および分解メカニズム、その責任酵素群の同定と阻害薬の病態改善の有効性、および標的因子の探索に関しての研究を推進しています。
Ⅳ. 疾患ゲノム・プロテオーム・メタボローム(プロテオゲノム)
病態システムズバイオロジー・バイオインフォマティクス
当教室の得意とする高度な質量分析システムとバイオインフォマティクス技術を駆使して、網羅的なプロテオーム解析やメタボローム解析、およびゲノム解析等を融合し、抗がん剤耐性・上皮間葉移行(EMT)・転移に関わる特異的細胞内外ネットワーク、これらのリン酸化や糖鎖等の修飾や分解メカニズム、その責任酵素群の同定、これらの阻害薬の病態改善の有効性を解明するための、最先端のシステムズバイオロジーの開発をしています。
高感度質量分析システム
Ⅴ. プロテオーム解析ツールの開発と臨床応用
(supported by NEDO/JST)
世界で初めて全自動の2次元電気泳動装置開発に成功しました(movie)。現在、ウェスタンブロッティングを全自動で連動させることに成功し、研究/臨床検査機器としての開発を進めています。(http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/M110001042, http://www.jst.go.jp/report/2011/120202.html)。
自己免疫疾患に関わる自己抗体検出、前立腺がん(特許出願中)、肝臓がんマーカーの迅速検出法を検討しています。
全自動2次元電気泳動装置(Auto-2D)
Ⅵ. プロテオームデータベースセンター
supported by JST:日本科学技術振興機構
アジアオセアニアの中心的国際プロテオームデータベース(jPOST:japan Proteome standardrepository/data base)のコアセンターとして、特にがんとX染色体に関するリポジトリーデータベースを構築しています。